IYO DENTAL ASSOCIATION

伊予地区の子供たちのむし歯がなくなってきている!
≪まとめ≫

 伊予歯科医師会はこう考えています。

 8 0 2 0 (はちまるにいまる)運動という言葉はすでにご存じでしょう。80歳になっても20本の歯を保てることを目標にしようという、厚生省が健やかな長寿社会を迎えるための歯科保健対策のスローガンとして提唱してからすでに10年以上になります。高齢者の実態調査では自分の歯が20本以上残っている人は、何でも噛め、からだが健康な方が多く、ボケる確率が低い傾向にあることがわかっています。

 しかしながら、8 0 0 5 (はちまるまるご)、80歳になると自分の歯が5本しか残っていないのが現状です。

 では、どうしてこんなに歯が失われていくのでしょうか? 歯を失う原因の大部分は、むし歯と歯周病です。ところが、歯科医院にまじめに通ったのにも関わらず、よくなるどころか同じ歯がどんどん悪くなっていく、なんか変だなと思われたご経験はありませんか?

 むし歯というのは歯に穴があいた状態で、歯科医院で治療という処置はその穴を詰めやすいようにさらに大きく削ってしまわなければならず、削った穴に人工物を詰めるという行為なのです。ですから、一度むし歯になってしまうと厳密な意味での「治癒」はなくなってしまいます。

 さらに、むし歯になりやすいお口の中の環境の改善がなければ、詰めた境目から新たなむし歯が進行する土壌を歯の治療そのものがつくっている可能性が高くなります。

 こうして、治したはずの歯がまた何年か後に新たなむし歯になり、歯科医院でもっと大がかりな治療を受けることになります。ある調査では、同じ歯が再治療される期間は平均6.1年というデータも出ています。その繰り返しとともに、加齢にともなって歯周病(いわゆる歯槽のうろう病)が加わって歯をなくしていくことになります。

 つい最近まで、学校歯科保健の領域でも「早期発見・早期治療」が関係者の間で合言葉になっていました。しかしながら、今は「早期発見・早期指導」に改まりつつあります。

 つまり、対症療法でなく、原因除去療法に近い形にしようというものです。

 8020を本当に達成するためには、永久歯が萌出してから1〜2年の歯がまだ未成熟の間に絶対にむし歯にしないことが前提になります。5歳位から15歳位までの間に徐々に乳歯から永久歯に萌えかわりますから、つまりは、幼稚園・保育園・小学校・中学校の間に萌え変わった永久歯を早い時期にむし歯にしないことが必要になってきます。

 現在は歯科保健対策が活発になり、歯に対するみんなの意識も知識も格段に向上してきています。が、子供たちのむし歯は微減傾向にあるものの依然として高率に発病しています。自分の健康は自分で守るという自覚ができる前にすでにむし歯になってしまっている現状を考えると、家庭はもちろんのこと地域全体で子どもたちの歯を守っていかなければなりません。

 平成8年度全国学校保健統計によると、12歳児(中学校1年生)でむし歯の有病者率は82.7%、一人平均むし歯数(DMF歯数)は3.51本となっています。つまり、中学生になると10人に8人以上の子どもが一本以上のむし歯に罹っており、欧米先進諸国の12歳児の一人平均むし歯数の激減傾向に比べて日本の12歳児のそれは著明ではありません。
 この違いは一体どこに原因があるのでしょうか?

 日本の歯科医療水準は世界のトップレベルにあります。全国どこででも医療保険の範囲内でかなり高度の治療が受けられます。

 しかしながら、予防の方面では正直なところ欧米先進国に遅れをとっていると言わざるを得ません。というのもフッ化物の応用が高いむし歯予防効果をもたらすことは疑いのない事実であり、先進諸国ではフッ化物を上手に利用して子どもたちのむし歯を減少させました。

 ところが、日本ではフッ化物応用の普及が格段に遅れており、それがむし歯大国になっている最大の原因だと言われています。

 伊予歯科医師会と伊予保健所でフッ化物の利用が効果的ならどんな方法がよいのかをいろいろと論議しあった結果、フッ素洗口の集団応用を21世紀に向けての地域歯科保健のファーストステップに位置づけしたのです。

 そして、子どもたちの歯をう蝕から守ろうという地域のみんなの願いが、フッ素洗口の導入というむし歯予防の最強の手段を得たものと考えております。

伊予歯科医師全会員一同
伊予歯科医師全会員一同

BACK


Copyright © 2002 Iyo Dental Association. All Rights Reserved.